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実は似ている?!「Z世代の部下」と「働かないおじさん」の課題に管理職が注力することとは

update : 2024.6.5

管理職はチームの目標達成や人材育成など多忙な日々を過ごしています。そんな中で、課題として挙げられることが多いのは「Z世代の部下」と「働かないおじさん」との付き合い方ではないでしょうか?一見、まるっきり異なる課題のように見えますが、実は共通点のある「似ている」課題といえるのです。ここでは、「似ている」といえる理由と、少しでも管理職の負担を軽くできるように、管理職が注力することについて説明します。

 

「働かないおじさん問題」とは

「働かないおじさん問題」とは、どういうものなのでしょうか。

Z世代は特性について多少の解釈の相違はあったとしても、生まれた年でグループ分けされているため、対象は誰もが納得できるものです。一方、「働かないおじさん」は、「コツコツ働いているけど十分な成果を出せない」という人を指す場合や、「勤務中に休憩が多い」など言葉通りの「働かないおじさん」を指す場合もあります。いずれにしても与えられた自分の役割を十分に果たすことなく高い給与、役職を得ているということでしょう。つまり、「与えられた役割を十分に果たしていないおじさん=働かないおじさん」が問題といえるのです。

これは会社全体の問題ではありますが、部下の中に自分より年下の「働かないおじさん」がいる管理職には、チームへの様々影響を考えると、大きな課題になっているのではないでしょうか。

 

「Z世代の部下」と「働かないおじさん」の特性

まず、「Z世代の部下」と「働かないおじさん」の特性について確認してみましょう。管理職が指導・育成に課題を感じる「Z世代の特性」については、他の記事でも述べてきたように以下のようなものがあります。
・ネットでのコミュニケーションが多く、対面のコミュニケーションに苦手意識がある
・自分の業務に納得性を求める
・承認欲求が強い

一方「働かないおじさん」の特性は以下のものが考えられます。
・年下の管理職から指示されることに抵抗がある、あるいは慣れない
・環境の変化が速く、ついていけない
・自分の知識・技能・経験では、プロジェクト等の中心になって働くことが難しくなった

これらの特性をみると、「Z世代の部下」と「働かないおじさん」に対する管理職の共通の課題が見えてきます。

 

実は似ている!「Z世代の部下」と「働かないおじさん」への対応の課題

では、どのような点で似ているというのでしょうか。3つの「似ている」課題について、説明します。

課題1 コミュニケーション

コミュニケーションをとるのが難しいというのは共通した課題といえるでしょう。「Z世代の部下」は、仕事はもちろん、生活など一般的な価値観についても違いがあり、どのようなコミュニケーションをとれば相手に伝わるのか、何を伝えることが重要なのかについて管理職は課題に感じることが多いのではないでしょうか。

「働かないおじさん」に対してもコミュニケーションの難しさが課題として挙げられるでしょう。「働かないおじさん」は管理職より年上の人たちのこともあります。年功序列の時代を生きてきた人たちだけに、年下の上司に対する抵抗感が高い可能性もあり、管理職はどのように業務の指示を出したら失礼にならないかなど、他の部下とは異なるところで気を遣ってしまうのではないでしょうか。

つまり、「Z世代の部下」は価値観が異なることから、「働かないおじさん」は価値観がある程度わかるからこそ相手が抵抗感をもつかもしれないという配慮から、コミュニケーションで気を遣い負担が増えてしまう、というのが「似ている」課題といえます。

課題2 主体性

「Z世代の部下」は与えられた業務について納得性を求めるとともに、自分で考えてやってみるのは苦手で、やり方を丁寧に教えてもらうことを望みます。また、失敗を恐れる傾向が強いため、積極的に挑戦しようとしないでしょう。

一方、「働かないおじさん」は、ネットを始め新しいツールが増え、これまでの経験や知識だけでは業務を進めにくい環境の中、新しいツール等に対する拒否反応がある人や、学ぶのに苦労する人いるかもしれません。そのような状況では、積極的に業務をしよう、貢献できることを探そうという主体性の発揮を求めるのは難しいといえるでしょう。

つまり、これまで特に必要と感じていなかった主体性が社会人になって求められるようになって戸惑っている「Z世代の部下」と、これまで培ってきた経験や知識を生かす場所を見いだせずに主体性を持てなくなった「働かないおじさん」、どちらに対しても主体性を持たせるためにどうすればいいのかを考えなくてはいけないということでは、「似ている」課題といえるのです。

課題3 承認欲求

「Z世代の部下」は承認欲求が強い傾向にあります。Z世代の承認欲求を満たすためには、「Z世代とのコミュニケーションが悩み?!管理職が心得ておきたいZ世代の部下を褒めるときの3つのポイント」でも、説明したように「こまめに」「一人の時に」「具体的に」褒めることによって、自己肯定感を高め、チームにとって必要なメンバーであることを実感してもらうことが大切です。

「働かないおじさん」に対しては、新入社員のように管理職が承認欲求を満たすために何かをする必要はないと思う人もいるでしょう。そもそも「働かないおじさん」に承認欲求はないのではないかと思う人もいるかもしれません。確かに、仕事の中心が若い人に移り、新しいツールへの対応など環境の変化の速さについていけないなどの理由から、もう自分は頑張らなくてもいいと思ってしまい、周囲からは承認欲求がなくなったように見えることもあるでしょう。一方で、「必要とされる」「認められる」ことがなくなったことで、頑張る必要性を感じなくなったともいえるのではないでしょうか。管理職は、「働かないおじさん」たちが持つ知識や経験を生かす場を用意し、活躍できる機会を与えることで、「働かないおじさん」の承認欲求を刺激し、チームへの貢献につなげることが大切になります。

つまり、「Z世代の部下」が求めている承認欲求を満たすこと、「働かないおじさん」については承認欲求を刺激することで、どちらともチームにとって必要な人材であることを伝えていくことが大切になります。つまり、承認欲求も「似ている」課題といえるのです。

 

課題は同じでも対応は異なる?!

「Z世代の部下」と「働かないおじさん」に対して、管理職の課題として似ている点があることについて説明してきました。しかし、管理職の課題として似ている部分が多くても、対応法も「似ている」とは限りません。

例えば、承認欲求を満たすことにもつながる評価の方法です。
「Z世代の部下」は社会人経験が浅いため、すぐに成果を出すことが難しい場合が多いといえます。また失敗を過度に恐れるため、あまり成果が出なかったことに対して落ち込んでしまうことも多いでしょう。そのため、「Z世代の部下」を評価するときは結果だけではなく、過程についても評価する必要があります。過程を評価されることで承認欲求を満たし、また、どのような過程が評価されたのかを知ることで、成果の出し方を学んでいくこともできるでしょう。

一方、「働かないおじさん」については、過程での評価ではなく、結果の評価を重視しましょう。社会人経験が長いため、たくさんの業務、プロジェクトの経験をしています。それは、どのような過程であれば評価を受けるのかを熟知しているということでもあります。過程の評価に重点をおけば、これまでの経験から評価されると考えられる過程にのみ注力し、結果を気にしない業務を行うことが可能なのです。そのため、「働かないおじさん」については結果を重視した評価軸にする必要があるのです。

 

管理職が注力すること

課題が「似ている」とはいえ、「Z世代の部下」と「働かないおじさん」の特性は異なるため、先述のように対応法は異なることも多々あるといえます。そのため、課題が「似ている」とわかっても、結局、管理職の負担は減らないと思われた人も多いかもしれません。

しかし、それぞれの対象、それぞれの課題に対して、都度悩んで対応していると負担は大きいといえますが、「核」となるものを決めることで、どちらの対象に対しても「核」により、何を伝えたらいいのか、何に対して主体性を持ってもらいたいのか、どういう点で必要と思っているのかが明確になり、負担を軽減することができるのではないでしょうか。まず、「核」を作ることに注力すること、それが管理職の負担を軽減する方法です。

では、「核」とは何なのでしょうか。それはチームの目標設定です。目標をしっかり作り上げると「核」として、管理職業務の拠り所となります。

チーム目標を明確にすると、各課題に対する負担が軽減されます。
・コミュニケーション
目標達成のために必要な業務が明らかになるため、部下に業務を依頼する際に、なぜその業務が必要であるかを具体的に説明できるようになります。常にチームの目標を「核」としてコミュニケーションをとることで、メッセージに一貫性を持たせることにも役立ちます。

・主体性
目標達成のためには、過去業務の延長に加え、新たな試みが必要とされることが多いでしょう。新しい試みのためには、誰にどんなことを挑戦してもらいたいかが明らかになり、具体的な挑戦内容を部下に伝えることができるようになります。

・承認欲求
目標達成のために部下がどのような貢献をしているのかを伝え、貢献内容をしっかりと評価していることを示すことで承認欲求を満たすことができます。また、チーム目標を「核」に貢献内容を伝えることで、チームの一員である、チームにとって必要な存在であることを部下に実感してもらうことにもつながります。

このようにチーム目標をしっかりと設定し、それを「核」にして対応法を決めることで、都度の悩みが減り、負担の軽減につながります。また、管理職の責務で一番大切な、目標を達成して会社に貢献することにも、しっかりと設定した目標は役立つでしょう。

 

「核」という拠り所を持つことで、管理職は負担を軽減しよう

今回は「Z世代の部下」と「働かないおじさん」を取り上げました。しかし、他のチームメンバーについては課題がないというわけではないでしょう。チームメンバーは多様な個性をもっています。管理職はチームメンバーすべてに対して、目標達成への貢献を期待するとともに、コミュニケーションもスムーズであることを望むでしょう。「核」であるチーム目標の設定は、他のメンバーとのコミュニケーションや主体性を促す際にも役に立つはずです。

管理職は多様な業務により多忙な日々に追われています。「Z世代の部下」と「働かないおじさん」への対応の課題を「核」を拠り所にし、負担を少しでも軽減していきましょう。

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