前回、Z世代部下をコア人材に育てるために、入社5年までに会社、管理職がやっておきたいことについて紹介しました。(「Z世代をコア人材に育てたい!入社5年までにしておく3つのポイント」)しかし、入社5年までにやっておくことは、あくまでもコア人材に育ってもらうための基礎固めにすぎません。ここでは、入社5年後以降、Z世代部下にますます活躍してもらうために必要なポイントを3つ紹介します。
ポイント1 自主的な発信力・行動力・巻き込み力の強化
入社5年までに少しずつ経験を積んできた「発信力」「行動力」「巻き込み力」。入社5年以降は、これらを強化していく必要があります。それまでは、発信・行動・巻き込みができるようになるために、小さな経験を積むことを重視していました。また、どうしてそのようなスキル・能力が必要かの説明も含め、経験が積めるような場の提供や後押しを管理職がしてきました。つまり、コア人材になるための基礎固めは管理職の「お膳立て」の中で行われてきたといえます。
しかし、いつまでも管理職の「お膳立て」がなければ何もできないようでは、コア人材と活躍は厳しいといえるでしょう。もちろん入社1,2年では、それらのスキルや能力が必要であることを理解してきたぐらいの状況ですので「お膳立て」が重要になります。そして一度に「お膳立て」をなくしてしまっては、Z世代部下も不安になるでしょう。理想としては入社3年くらいから徐々に「お膳立て」を減らすようにしていくのがいいでしょう。
一方で、「お膳立て」をなくしたら「発信力」「行動力」「巻き込み力」が自動的に強化されるわけではありません。自主的に高めようとする意志を各Z世代部下に持ってもらうことが必要です。Z世代が自主的にスキル・能力を強化させるためには、外部の研修を活用することもひとつです。普段の業務内とは異なった環境でスキル・能力の強化方法を直接学べる機会、そして同期など同僚と一緒に研修を受けディスカッションなどで刺激を受ける機会を持つことは自主的にスキル・能力を高めようと思えるきっかけになる可能性が高いといえるでしょう。
ポイント2 管理職はフォローを忘れない
入社5年経ってZ世代部下が自主的にスキル・能力を高めていくように仕向けていくことは大切なことです。しかし、Z世代の持つ「失敗を恐れる」「誰かに決めてもらうことが多かった」という特性や経験が、5年ほどの社会人生活でなくなるわけではありません。Z世代が失敗や周りの評価に敏感であることを管理職は忘れないようにしましょう。
そのため、自主的にスキル・能力を強化するようになっても、何かあればすぐにフォローするということを伝えておくことが必要です。もちろんフォローの仕方もスキル・能力の強化具合によって変わるでしょうし、すべてのフォローを管理職が行う必要はありません。状況に応じてチーム内でフォローしあえるという体制を作っておくことが大切です。
ポイント3 Z世代部下を「お膳立て」される側から「お膳立て」する側へ
先述の通り、入社何年経っても管理職がZ世代部下に「お膳立て」をし続けるわけにはいきません。新たな新人も入ってきますし、「お膳立て」をされないと何もできないようではコア人材としての活躍を期待できないからです。そして、Z世代部下も先輩社員になってくれば、管理職を手伝って新人を育てるための「お膳立て」をする必要も出てくるでしょう。
そこで管理職がすることはポイント1で説明したZ世代部下への「お膳立て」を徐々に減らしていくと同時に「お膳立て」とは何か、「お膳立て」のやり方をZ世代部下に伝えていくことになります。そこで大切なことは2点あります。
1つは、「お膳立て」の必要性をZ世代部下にしっかりと伝えることです。新人も同じくZ世代なので、新人の気持ちや状況をZ世代部下なら理解しやすい考え、「お膳立て」の必要性について簡単に納得してくれるだろうと思う管理職もいるかもしれません。しかし、Z世代の特性はあくまでも一般的なものです。一人ひとり異なりますし、個性を尊重するZ世代に「同じZ世代だからわかるよね」という思いのまま説明したら、一緒くたにされていることを感じ取り、拒否反応を示されるかもしれません。あくまでも新人が業務、チームに慣れるためには「お膳立て」が必要であることを伝え、Z世代部下の個性に合わせて依頼する内容を決めていきましょう。
2つは、「お膳立て」=「面倒、やっかい」という伝え方をしないことです。管理職は責任も重く大変だという印象が一般的な部下からの見え方です。そのことを理解しないまま「お膳立て」の話をし、例えば「仕事を増やしてすまない」のような言い方をすれば、管理職のような「お膳立て」をしなくてはならない立場にはなりたくないとZ世代部下に思われてしまうでしょう。「お膳立て」をすることで、配属後なかなか馴染めなかったZ世代部下がチームに溶け込むようになった、業務を積極的にやるようになったなどの経験は「お膳立て」をしてきた管理職冥利に尽きるでしょう。「お膳立て」=「成長が実感できてうれしい」「ワクワクする」などの体験も一緒に伝えましょう。管理職が仕方なく「お膳立て」をしているのではなく楽しんでいると感じれば、Z世代下も新人に対して「お膳立て」をすることに否定的な思いを抱かなくなるでしょう。
コア人材、リーダーとしてZ世代社員に活躍してもらおう
入社5年までに基礎力をつけ、5年以降は自主的にその能力を高められるように導きくことでZ世代部下がコア人材として活躍できるように育成していきましょう。またポイント3にもあるように新人や後輩を育成するための「お膳立て」についても学んでいくことでリーダー、管理職になるための基礎力をつけていくことができるでしょう。ただし、Z世代は各自の個性を尊重していることを忘れずに無理強いをしないように注意することが大切です。
そして、コア人材になりたい、管理職を目指してみたいというZ世代部下を増やすためには、管理職がコア人材になって活躍することの楽しさ、部下の成長を実感するときの管理職としての喜びをきちんと伝えていくことが重要といえるでしょう。
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