後輩が入社し、先輩となるZ世代社員が増えてきました。これまで上司や先輩社員がそのZ世代に割くことが出来た時間の多くが新入社員に使用されるようになり、先輩となるZ社員はもちろん、管理職や先輩社員もZ社員が先輩社員として一人でやっていかれるのか不安になることもあるでしょう。ここでは、その不安を解消する1案として、先輩となるZ世代社員に強化してもらいたい発信力について説明します。
そもそもZ世代に発信力の強化が必要な理由
会議で発言する、メール経由なども含め提案するときなど、Z世代にかかわらず多くの人が躊躇した経験を持っているかもしれません。躊躇する理由は反対されたり、無視されたり、発信することで責任を負わなくてはならないなどいろいろあるでしょう。それ以外にも先輩になるZ世代社員にとっては、次の理由で発信することに躊躇しやすい傾向があるといえます。
上司や先輩から声を掛けられることに慣れている
もしかするとこれまでは自分から言い出さなくても、「順調に進んでいる?」「困ったことはない?」「あなたはどう思う?」など上司や先輩から声を掛けてもらう機会が多く、自分から発信しなくても聞かれたときに答えれば、必要な情報が入手でき問題なく業務が行えたかもしれません。しかし、当然ながら新入社員が入れば、上司や先輩からの声掛けの頻度は減ってしまいます。そのため、何か気になることがあった場合、また困ったことがあった場合などは、自分から上司や先輩に伝える必要が出てきます。声を掛けてもらえることに慣れたZ社員にとっては、話の内容以前に話しかけるタイミングなど話しかけること自体に難しさを感じるかもしれません。
直接人と話した経験が少ないため、伝えることに難しさを感じる
Z世代はネットでのやり取りが多く、身近な人以外では直接話をしてきた経験が少ないため、直接人に何かを伝えるということに苦手意識を持つ人もいます。これまでは上司や先輩から声を掛けてもらえたので、聞かれたことに対して回答すればよかったのが、自分から話しかける、つまり回答を求める立場になるとどのように伝えればいいのか、伝え方に難しさを感じるかもしれません。
人からの反応を気にしてしまうため、発信する内容にも悩んでしまう
Z世代は人の反応に敏感な傾向があります。反応が悪かった時のことを考えると話しかける、メールを送る勇気もなかなか湧いてきません。だからと言って、例えばトラブルが起きた時など上司や先輩に伝えることなく、業務を続けることは難しいといえます。過度の緊張をせずに欲しい回答が得られる伝え方を学ぶ必要が出てきます。
このように発信に苦手意識を持つZ世代社員が、上司や先輩からのサポートを十分受けられなくなる先輩社員となった際には、発信力を強化していくことが必要であるといえるのです。
Z世代に知ってほしい発信力を強化するポイント
では、発信が苦手なZ世代が発信力を身に着けていく、強化していくにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
話しかけるタイミングについては、そのチーム、会議の雰囲気や上司、先輩社員の忙しさなど環境によって大きく異なってくるため、発信の機会を自分で作ることによって、どのような時ならば話を聞いてもらえるのかを経験でつかんでいくしかありません。
しかし、発信する内容については準備しておくのとしないのでは、自分が伝えたい内容に対する相手の理解度や反応、自分が得たい回答も異なってきます。ここでは、発信するときの3つのポイントについて紹介します。
ポイント1 この発信で自分は何を知りたいのか、何を解決したいのかを整理しよう
業務の進め方でわからないことがある、トラブルが起きた、提案したいことがあるなど、発信したい内容があって上司や先輩に対して、また会議などで発言したり、メールで提案したりと発信するわけですが、その時に自分は何を知りたくて発信しようとしているのか、何を解決したいのか、どんな回答が欲しいのかを整理しておくことが必要です。またその回答を得るためには内容を相手に理解してもらわなくてはなりません。例えば、トラブルが起きた際もどのようなトラブルが起き、現状はどうなっているのかがわからなければ、トラブルの解決につながらない回答しか得られない可能性もあります。
まずは発信したいことを整理し、伝えたい内容が相手に理解できるような流れ、そして自分自身は何を知りたくて発信しようとしているのかについて整理してみることが大切です。
ポイント2 発信したい内容について自分はどう解釈しているのか整理しよう
新人のころは業務の知識、経験が浅いため、わからないと言うだけでも上司や先輩社員が教えてくれたこともあったでしょう。また業務を一人で行うことがまだ少ないため、状況の把握についても自分が積極的に行わなくてもいい場合もあったかもしれません。
先輩社員になって新人に比べて知識や経験が増える、また一人行う業務も出てくると、ただわからないから教えてほしいというような回答を求めるだけでは、相手も反応が難しいといえるでしょう。トラブルが起きたときに、状況の説明だけでどうすればいいのかを聞くよりも、例えば、自分では関係者が多く、連絡ミスが起きているためだと考えられるなど、自分なりの解釈を加えると、相手も状況の理解度が高まることに加え、他に考えられる解釈など相手の視点も引き出すことができる可能性が高くなります。それにより、自分が必要とする回答につながるでしょう。
自分なりの解釈も伝える、これが発信力をアップするポイントです。その際、整理した現状と自分なりの解釈を分けて伝えることで、相手を混乱させないように注意しましょう。
ポイント3 自分なりに提案ができるかも考えてみよう
自分なりの解釈が出来たら、その解釈のもとに提案までできるようになると、さらなる発信力のアップにつながります。先ほどのトラブルの原因は関係者が多く、連絡ミスが起きているという解釈をしているのならば、関係者全員に情報が共有されるようにメーリングリストを作りましょう、ツールを使いましょう、共有漏れが起こってないかの確認のために定期的に会議をしましょうなどの提案をすると、もし解釈や提案が認められた場合はすぐに解決策の実行に移れるでしょうし、違う解釈や提案があるのであれば、その解釈や提案について議論に進むことが出来るでしょう。
つまりポイント2、ポイント3までしっかりと出来た発信をすると、ポイント1の自分が知りたい、解決したい回答を得やすくすることができるのです。また、きちんと整理、解釈、提案までされた発信であれば、伝えられたほうも安易に反対や無視できなくなる可能性が高くなり、発信前の相手の反応に対する過度の緊張も軽減させることが出来ます。
発信力を身に着けて、Z世代に頼もしい先輩社員になってもらおう
ポイントに書いたことは大切なことですが、それらをすべて身に着け、発信力を高めることは簡単なことではありません。しかし、発信力を強化していくことで、知りたいことを整理、解釈、提案するという技術も磨かれます。そして各自の業務に対する理解度や経験値の向上にもつながるといえるでしょう。上司や先輩に頼るところから始めた社会人生活から先輩として踏み出すためにも、Z世代には発信力を強化してもらいましょう。Z世代が頼もしい先輩社員になることで、管理職も安心して新人のZ世代に目を向けることが出来るでしょう。
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