パーソナルブランディングという言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。特に自営業やフリーランスの人たちにとっては仕事を依頼してもらう上で大切だと感じているのではないでしょうか。しかし、社内でも自分をブランディングすることは重要です。どういうスキルや経験をもち、何を得意とするのか、自分と仕事をすることのメリットなど自分の存在を周囲が知っているのと、いないのとでは社内での仕事のやりやすさ、自分がやりたい業務ができるかどうかにも影響するでしょう。
本来ブランディングは自分で行うものですが、ここでは管理職の役割の一つとして部下のブランディングをサポートすることの重要性について説明します。
部下のブランディングに管理職のサポートが必要な理由
では、なぜ管理職が部下のブランディングをサポートする必要があるのでしょうか。理由は主に2つあります。
1.Z世代部下の特性
部下の中でも特にZ世代は、失敗を極度に恐れる傾向があります。そのため自主的に自己を表現する、発信することに苦手意識を持っている人が多いといえます。また、なんでもネットで調べれば回答が得られることに慣れているため、自分はどのように周囲に見られたいのかといったネットで回答を見つけるのが難しいことについては、なかなか主体的になれないかもしれません。
ブランディングには、どのように周囲に認識してほしいのか、そしてそのように認識してもらうための主体的な発信が必要です。そのため、自分をどういう人と認識してもらいたいか考えるのが難しい、どういう人と決めたとしても発信に対するハードルが高い部下のブランディングには、管理職のサポートが必要と言えるのです。
2.管理職のメリット
部下が成長し、戦力になってくれることは管理職のメリットにもつながります。周囲から部下の存在や能力が認識されることにより、部下は管理職だけでなく周囲からの影響を受ける機会を得られる可能性が高まります。数多くの人からの影響や、一緒に業務をする経験は部下の成長につながり、戦力としても大いに活躍を期待できるようになるでしょう。
社内でのブランディングに必要な要素とは
では、社内で部下をブランディングするのに必要な要素とは何なのでしょうか。社内におけるブランディングでは、周囲がその人の存在および、どのような人かを認知していること、そしてその人と仕事をしたいと思うなどの好意的な感情を持ってもらうことを目指します。具体的には、以下の4つの要素について周囲に知らせていくことが必要です。
1.役割
まずは、自分がどのような役割を担っているかを知ってもらうことです。業務ではなく、役割であることに注意しましょう。例えば、備品管理の業務だったとします。「役割」になると、使用状況を把握して効率よく発注をする、発注方法や安価でより良い製品への変更などコスト削減に向けた提案をするといった備品管理を通じ会社への貢献をしていくことを考え業務を行っていくことが必要になります。このように、「役割」を考えながら業務を行っていくことで、周囲に業務以上の付加価値を提供していることを伝えていきましょう。
2.スキル・経験
次に、役割を担ってきた中で培われたスキル・経験です。どのようなスキル・経験が身につき、それはどのようなことに活かせるのかを知ることが大切です。活かせると思うスキル・経験は自分が認識していないものもあるかもしれませんし、逆に自分では十分と思っているスキルでも、求める側からは足りないと判断される場合もあるでしょう。自分のスキル・経験を客観的に把握し、示せるようにすることが大切です。
3.パーソナリティ
仕事を依頼するのには役割がわかって、スキル・経験があれば、十分と考える人もいるかもしれません。しかし、人には相性というものがあります。それは人同士もありますが、仕事・プロジェクトなどにも当てはまります。最近多くの企業が就職の際に適性検査をするのも、自社、自部署の役割にあったパーソナリティを持つ人を求めているからといえるでしょう。
自分がどのようなパーソナリティを持っているのか、またどのようなパーソナリティを周囲に見せていきたいのかを決めることが重要です。
4.信頼度
仕事をするうえで、信頼できる人と一緒にできるかどうかはとても重要です。誰もが信頼できる人と仕事をしたいと思うでしょう。ただ、この信頼度を高めるのは短期間でできるものではありません。「役割」「スキル・経験」「パーソナリティ」が伝わっていく中で、徐々に周囲に培われていくものです。社内のブランディングではここにたどり着き、一緒に仕事をしたいと思ってもらえることが重要です。
各要素に対して管理職がサポートすることとは
では、各要素について管理職はどのようなサポートをすればいいのでしょうか。まずは、しっかりと部下の観察をし、部下をどう育てたいのか、部下がどのような希望を持っているのかを理解することが大切です。そのうえで各要素についてサポートしていきましょう。
1.役割
業務と役割は異なっていることを先述しました。管理職は部下が自分の役割をきちんと理解しているかを確認しましょう。例えば、先ほどの備品管理では、自分の仕事は依頼を受けた備品を発注し、在庫の数を記録しておくとこであり、それ以上のことは必要ないと思っているかもしれません。その場合は、業務と役割の違いを丁寧に説明し、部下が役割を理解して業務をするように促すことが大切です。一方で、部下がどのような役割を担っているのかを周囲に伝えていくことで、部下の知名度を高めていきましょう。
2.スキル・経験
スキルや経験は培うための機会が必要です。普段の業務で培われるものもあるでしょう。一方、業務の中でも部下によって得意・不得意分野が異なってきます。不得意な分野を補う、または得意分野を伸ばすためにはどのようなスキルを身に着けさせたほうがいいのか、どのような経験をさせたほうがいいのかを各部下に合わせて考えていきましょう。もちろん、各部下の希望も聞くことも大切です。
スキル・経験はキャリアを考えた場合でも重要な要素です。どのような人材として育てたいのかをしっかり考えたうえで、部下のスキルアップにつながる経験をさせていきましょう。自主的にこんなことがやりたいと言えない、身に着けたスキルで周囲と仕事を積極的に行うことができない間は特にサポートすることを忘れないようにしましょう。
3.パーソナリティ
一言でこの人はこんな人といえるほど、パーソナリティは単純なものではありません。一見、弱みのような部分でも活かし方によっては戦力になる場合もあります。周囲に自分のどういう部分を見てもらいたいのか、どういう部分が強みとして認識してもらいたいのか、ブランディングにとっては重要な要素になります。
管理職は普段の観察から、部下のどういう面を強みとして出していくのがいいかを考え、また部下が考える見せたい自分というものは何かについて部下と話す機会を持つようにするといいでしょう。
4.信頼度
部下の信頼度を高めるためには、管理職からの発信も大切です。自分が信頼していない部下を他部署の人が信頼するのは難しいでしょう。まずは自分が信頼して仕事を依頼していること、プロジェクトがあった時などに推薦するなど、自分が信頼していることを周囲に示し、また部下が他部署から信頼される機会を提供していくことで、信頼度を高めるためのサポートをしましょう。
部下のブランディングをサポートして、会社のコア人材に育てよう
部下のブランディングに成功すると、この仕事はこの部下というように依頼する際の人材選択にも困らなくなります。また他部署にも部下のブランドが浸透していれば、プロジェクトの際も説明なしに部下を推薦できます。このような管理職のメリットの一方で、部下も自分の強みを活かし、活躍の場が広げることができるでしょう。
ブランディングは短期間でできるものではありません。しかし、部下のブランディングをサポートすることで、部下が働きやすい環境、成長の機会の提供が可能になります。そしてブランディングにより成長した部下は会社のコア人材として活躍してくれるでしょう。
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