入社して3~5年が過ぎると、管理職は部下に戦力として、リーダーとして成長することを望むようになります。一方で、ある程度会社や仕事に慣れてきた若手社員にとっては、この先のことを考える時期ともいえます。この先の中には、転職という選択肢も入るでしょう。転職は人間関係が要因のこともありますが、成長させてくれる環境を求めるZ世代にとっては、これ以上の成長を望めないと思うことが転職の大きな要因になる可能性があります。ここでは、Z世代に自社で活躍してもらうために、必要と思われる研修について説明します。
Z世代のキャリアプラン
自社で働き続けることで、どんなキャリアプランが描けるのかについて管理職はZ世代に示していく必要があります。しかし、成長できる環境を企業が用意し、成長させてくれるものという、成長に対して受け身の考えが強い傾向にあるZ世代では、管理職がどんなに頑張って各自に合わせたキャリアプランを考えたとしても、本人が主体的に動かなければプランのまま終わってしまう可能性があります。また、主体的に動くように言われても、まだ仕事について指示、指導されることのほうが多い入社3~5年では、主体的に動きたいと思ったとしても何をしていいのかわからないかもしれません。そこで、主体的に動くための基礎を学べる研修が必要となります。研修を受けることで、キャリアプランが現実的になり、Z世代が自社での成長をイメージできるようになるでしょう。自社での成長をイメージできるようになれば、この先を考える際の選択肢から「転職」がなくなるかもしれません。
研修を選択する理由
研修を受けなくても業務上で学べることもあるのではないか、という考えもあるでしょう。もちろん毎日の業務の中で身につけられることはたくさんあります。しかし、研修には2つのメリットがあります。
1.成長の機会をもらえているという実感
業務をしながら身についていく知識や経験は、日々の積み重ねのため、いつの間にか成長していたと後から実感するものであり、「今、成長している」と感じるものではありません。そのため、Z世代の部下にとっては、成長している実感が持ちにくい可能性が高いといえます。研修は、あるテーマについて一定の時間、知識とワークを通じた経験を得られるので、少なくともそのテーマについて学んでいる、成長しているという実感をZ世代の部下に与えることができます。Z世代の部下には、研修は「成長を実感できる」機会であるといえます。
2.外部からの刺激
研修は普段一緒に仕事をしている人以外との接する機会でもあります。社内研修では他部署の人、公開セミナーでは他社の人と一緒に研修を受けることになります。普段接点のない、または少ない人たちと話をすることは、いい刺激になり、異なる視点を持つことや視野を広げることにつながります。このこともZ世代の部下の成長を促すことになるでしょう。
入社3~5年のZ世代に必要な研修
では、入社3~5年のZ世代に必要な研修とはどのようなものなのでしょうか。入社時に受ける研修は、社会人として必要な知識、マナーを身につけることが主ですが、3~5年目になると、先輩社員にもなり、またプロジェクトでも重要なポジションを任され始める時期です。Z世代が、これらをあまり苦にならずにできること、そして今後のキャリアプランの実現につながる基礎力をつけることができる研修が必要になります。ここでは3つの研修について説明します。
1.OJT研修
OJT研修は新人を指導することになる先輩社員に対して行うものです。しかし、OJTの担当にならなかったとしても先輩社員になると、後輩に指示を出すことも、年齢の近い人には話がしやすいことから後輩から相談を受ける機会もあるでしょう。OJT研修には、仕事の任せ方や、褒める・叱る方法など先輩社員になると必要になる要素が多く含まれています。そのため、OJT研修はOJT担当になる人はもちろん、後輩社員ができるZ世代には必要な研修といえるでしょう。
2.発信力研修
新入社員のころは指示や指導を受ける身だったため、自分から何か発信しなくても業務をすることが可能なことも多いといえます。また、「どう思う」というふうに先輩社員や上司から意見を求められてから、自分の考えを述べても問題なかったかもしれません。しかし、3~5年すると、業務内容によっては重要なポジションになることもあります。そうなれば、業務を円滑に行うためにはどうすればいいのか、自分の考えを発信していかなくてはなりません。新人のころのように「どう思う」と聞かれる側から、自分の考えのもと「どう思う」と周囲に聞いていく立場に変わります。しっかりと自分の考えを持ち、周囲にわかりやすく発信していく能力が求められます。試行錯誤しながら、身につけていくことも大事ですが、発信するためにはどういう心構えが必要で、どのようにすればいいのかを研修で学べば、試行錯誤の途中で心が折れる前に自分なりのやり方を見つけることができるでしょう。
また、人の評価を気にする傾向が強いZ世代にとって、自分の考えを発信することは、どう受け取られるかが不安で難しい可能性があります。だからこそ、基本的な考えややり方を先に学ぶことで、発信に対する恐怖心を軽減させておくことが必要であり、発信力研修は役立つといえるのです。
3.問題解決研修
業務範囲が広くなってくる、また責任ある業務を任されるようになると、トラブルへの対応についても役割が異なってきます。新人のころは、先輩や上司が問題の原因を見つけ、問題解決の方法を考え、自分はどう対応すればいいのか指示を待っているだけでもよかったかもしれません。しかし、経験を積んでくるとトラブルが起きた時の原因を見つけるところから対応法までを自分で考え、周囲に指示、依頼をしていく必要が出てくるでしょう。もちろん一人で抱えることをせず、先輩や上司にすぐに報告、相談することが重要であることは間違いありません。しかし、「トラブルが起きました。どうしましょう」という相談では、先輩や上司は何もアドバイスできません。トラブルが起きたことはすぐに報告する必要がありますが、どうするかについては、状況が一番わかっている担当者である自分がトラブルの内容をきちんと把握し、考えられる原因をあげ、そして対応法を提示したうえで、相談することが必要になります。
これも、トラブルが起きてからいきなりやることは難しいですし、日々の業務の中ではなかなか身につけることはできないかもしれません。研修で、やり方や考え方をしっかり学び、ワークで感覚をつかむことで、実際にトラブルが起きた際に行動しやすくなるでしょう。自分で状況を把握し、対応法を考えるという思考、行動は主体性を育むことにも役立ちます。
自社で活躍する人材の育成に研修を活用しよう
自社で継続的な成長が可能であることがわかれば、転職という発想はなりを潜めます。しかし、成長するには管理職がサポートをしても、最終的にはZ世代の部下が自分から動く必要があります。もし、Z世代がそのことを理解していなければ、提示されたキャリアプランのようにならないと会社の責任と感じてしまう可能性もあります。
管理職が自分から動ける力、主体性が大事であることをZ世代の部下に伝えていくことに加え、研修を活用することで、第三者からその重要性、必要性を伝えていくことも大切なことだといえるでしょう。研修を活用して、Z世代の部下を自社で活躍する人材に育成しましょう。
グローネス・コンサルティングではZ世代の部下育成に特化したWithZ研修を提供しています。その中にはOJT研修、先輩社員になったZ世代社員向け研修があります。カスタマイズの経験も豊富ですので、Z世代育成に向けた研修でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。