定着率を高めるには会社への「帰属意識」が大切。そのため従来は「帰属意識」はどうしたら高まるのかについて管理職や人事総務部は頭を悩ませていたことでしょう。しかし、大手企業神話の崩壊、転職情報はいつでもネットで情報取得が可能、SNSの発達もあり職業の幅が広がった環境で育ってきたZ世代にとって1つの会社への「帰属意識」を求めるのは難しいといえます。
「帰属意識」が求められないのであれば、定着率を高めるのをあきらめるしかないのでしょうか?ここでは、「帰属意識」以外に定着率を高める方法について説明していきます。
Z世代の特性を知る
まず、Z世代の特性について整理しましょう。
1.ITリテラシーや自分の興味があることに対しての知識・専門性が高い
2.承認欲求が高い
3.興味がない分野に対する主体性の発揮が難しい
・リコメンドに慣れているため、自分から選択するのが苦手
・ネットでは匿名でコミュニケーションができるため、実名での発言は苦手
・失敗を過度に恐れる
・強制や我慢の経験が少ない
4.多様な価値観
5.ワークライフバランスを求める
これらの特性を理解したうえで、管理職はじめ組織全体でZ世代がずっと居たくなる会社にすることが定着率を高めるには必要なことになります。
定着のカギは「居心地のいい組織」
では、具体的にどうすればZ世代の定着率を高めることができるのでしょうか。
それは各特性に合わせた対応をすることで、Z世代が「居心地がいいと思える組織」にすることです。そのために組織、管理職は何をすればいいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1.仕事の意味を見出し、共有する
Z世代が仕事に前向きになることが大切です。例えば、自分の知識や専門性が生かせると思えばZ世代も自信をもって役割を受け入れられます。専門分野以外の業務が含まれている場合は、仕事自体の意味を一緒に見出し共有することが大切です。Z世代がその意味に納得できれば、仕事に前向きになれるでしょう。また、自分が必要とされているということはその組織で仕事がしたいと思うことにつながります。
2.些細なことでも評価し、褒める
承認欲求が強いZ世代にとって、自分がしたことに対して何の反応もないことが一番気になることです。きちんと見ていることを示すためにも、やみくもに褒めるのではなく、何が良かったのかをきちんと伝えて褒める、またはその行動に感謝の気持ちを伝えましょう。また達成したことに対して一緒に喜ぶこともこの組織で働きたいという仲間意識を育てることに有効といえるでしょう。
3.主体性が発揮できる土壌を作る
専門性が生かされる役割を与えることは自信につながり、Z世代の主体性が発揮できる土壌作りにつながりますが、それ以外にも必要なことがあります。リコメンドされていることに慣れているZ世代には、最初は一から考えさせず選択肢を出して選ばせるところから始めるのがいいでしょう。強制や我慢の経験が少ないので、選択肢を選ぶ際も悩んでいそうだったら強制的に決めるのではなく、決められるようなアドバイスを送るなど手を差し伸べることも必要です。そして少しずつ主体性が発揮できるようにしていきましょう。
また失敗を過度に恐れる、実名での発言に慣れていないことも主体性の発揮が難しい要因です。それには組織内の成功例だけでなく、失敗例についても共有することが必要でしょう。この際、失敗をマイナスとして共有するのではなく、「〇〇さんがいたおかげで挽回できた」「大変だったけど最終的に△△を得られた」というように前向きな共有にすることが重要です。このことにより失敗や自分から発言することに対してマイナスイメージを持ちにくくなり、主体性を発揮する土壌になるのです。
4.価値観を尊重する
例えば仕事に対する価値を「社会貢献ができること」におくなど、Z世代の価値観は管理職世代とは異なる部分も多くあるでしょう。それを「仕事とはこういうものだ」「自分たちの新人のころは~」といってもZ世代には通じません。Z世代の価値観を尊重しましょう。またZ世代は個々で価値観が異なり、各価値観を重視しているため、Z世代を一括りに考えず、個々の価値観を見ていくことが必要です。
5.プライベート時間を尊重する
Z世代はワークライフバランスを重視する世代です。プライベートに踏み込むようなことをしないのは当然ですが、仕事のためプライベート時間を削らなくていいように業務量に目を配ることも必要です。ワークライフバランスを保つことで、Z世代に楽しく仕事をしてもらいましょう。
居心地のいい組織には管理職による「お膳立て」が必要
Z世代が定着していくためにはZ世代の特性に合わせた「居心地のいい組織」を作っていくことが必要です。居心地のいい組織で楽しく仕事ができれば定着率は上がります。それにはこれまで見てきたように組織、特に管理職による対応、「お膳立て」が必要になります。従来の部下育成方法とは大きく異なりますので、戸惑う管理職も多いでしょう。しかし、Z世代の定着、そしてZ世代の活躍を期待するのであれば管理職がお膳立てマネジメントをすることが必要なのです。
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